【 会員の随筆 「茶会の客振り」 】   −NO.3−
 今回は山城高校第4回卒業 澤 (旧姓山下) 美枝さんの3回目です。
          
  
〔掲載順〕 〔掲載日〕 〔卒業年〕 〔卒業回数〕   〔 氏 名 〕 〔タ イ ト ル 〕
第 3 回 2009.7.1 S27年 山城高4回  澤 美枝 後座編
 
   「茶会の客振り」

    (NO.1) 席入り編       (2009.5.1付 掲載)
    (NO.2) 炭点前・懐石編   (2009.6.1付 掲載)
    (NO.3) 後座編        (2009.7.1付 掲載)
    (NO.4) 表千家流のお茶のいただき方 
茶会の客振り  後座編
                                    解説   澤 美枝
     茶会に招かれれば 茶会の亭主も客もそれぞれの感性とセンスでお互いが 相手の気持ち
    になって、その場に相応しく振る舞えば 特別な決まりはなく、暮らしの常識で充分です。
    此の暮らしの知恵がやや お粗末になっているのが 気になります。ご退屈でしょうが
    しばらくお付き合いください。
 ○ 客は中立ちで、茶席をでられたので
 ● 茶席を改める   ・床の間の掛け軸をはずし   ・中釘に花入れ 花など生け
              ・濃茶の出来るように 道具を改め   ・窓など一度開けて新鮮な空気に
               入れ替え   ・後座の改まった雰囲気に飾りも改めるなど 衣服も改め

初座の茶席の例

後座で濃茶の準備

後座の花

後座で床の間に花 琵琶台も改めた例
              露地の腰掛けに客が落ち着かれた様子を確認して 席入りの合図。
 ● 鳴り物を打つ。   小間なら銅鑼、  広間なら喚鐘で茶席の整った事を知らせる。
               ( 丁寧には もう一度初座の時同様 露地まで迎えに出る事もある )
 ○ 客は音が聞こえたら、 腰掛けから離れて 飛び石まで進み、この時はしゃがんで(低い姿勢で)
              鳴り物の音を聴く。銅鑼などの音は地を這う様に音が伝わって響くので低い
              姿勢で音色を味わう。
 ○ 鳴り終われば、 又  腰掛けの円座の上に戻り一呼吸。最初の初座と同様 円座はお詰めに
              御願いして 蹲踞で 手・口を清めて 席入り。
 ○ 後坐の席入り。  初座の部屋とは趣を改めて 再び 静寂の幽玄の世界へ。
              灯りを落とし 微かに香の薫る 床の間には 露を含んだ清楚な花。
 ● 厳粛に濃茶点前。

濃茶点前

濃茶

一椀で連客飲み回す
 ○ 釜の湯の鳴り(松籟)を 釜の蓋の開く音、閉める音、茶筅通しの微かな音、
            静寂のなかで亭主のおもてなしの心を 五感で受け止める。
 ○ 濃茶を頂く。  亭主のお心入れの茶碗での濃茶を 連客で呑み回す。
            濃茶を頂く時 茶碗の正面は避けて 少し回し茶碗の横の方から 口をつけて
            味わっていただく。飲み口は拭って 次の客にまわす。濃茶の頂き方は
            多少流派によって異なるが 心は同じ。
            亭主が心を込めてお点て頂いたお茶を冷めない間に連客に早く回し 作法は
            ともかく、亭主の心を頂くと思えば どうすれば良いか おのずと決まるもの。
 ○ お茶銘とお詰めをお尋ねする
            頂いた後 ご亭主に正客が代表して 美味しく頂いた お礼と この美味しかっ
            たお茶の 銘、茶壺に詰めた茶園など尋ね 菓子などもこの時尋ねる。
 ○ 茶碗拝見。  最後のつめの客まで頂いて、茶碗が空になったら 正客から順に茶碗や添えてあ
            る袱紗を拝見観賞する。

茶碗の拝見

正客が責任をもって
 ○ 茶碗を亭主に返す。   最後の詰めの客まで拝見すめば 正客が責任もって亭主に返す。
 ● 亭主は一応点前を終い 水指の蓋が閉まった頃、
 ○ 茶入れ、茶杓、袋(しふく)の拝見を乞う。連客で拝見。
           正客が責任をもって 出されたところへ返しておく。
 ● 後炭点前。 炭の勢いが落ちていれば 後炭点前で 釜の湯加減を改め、
 ● 薄茶点前。 (必要ならば 時には座布団を出し)
           たばこ盆、おくつろぎ頂く意味でたばこ盆など出す。
           干菓子 を出す。
 ○ 客も順に干菓子をいただく。   干菓子は懐紙の上に手で取って良い。
          薄茶を頂く。      勧められるままに何服でも薄茶は頂いて良い。
 ○ 茶器(棗など)、茶杓の拝見。   濃茶の時同様 水指の蓋が閉まった頃拝見を乞う。
                       連客で拝見して 亭主の出された所まで返しておく。
   ※ 『時には濃茶、薄茶と続きに点前する事あり。又 濃茶の後 別席に移って薄茶席を設ける
     時など 趣向は様々なれど、客は時に応じて亭主の指示通りに従う』
 ○ 退出。   席入りの時同様、床の間、釜、炉縁、棚、水指など 再度拝見して退出。
 ● お見送り。   躙り口(茶室入り口)で見送る(一礼)。
 ○ 客も露地で振り返り、正客、詰めの客、連客の順で並んでお礼 (これ以上お見送り辞退)して
                 名残惜しみつつ 露地を帰って元の寄り付きの席にて 散会させていただく。
 
    基本的な客振りの例を私なりに ご参考までに 提案させていただきました。時に応じてご自由に
   感性に合わせてご活用いただければ幸いです。是非 茶事にお越し下さい。
     


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